「もうフルサイズは必要ない!」
「APS-Cが最強!」
「フォーサーズ、マイクロフォーサーズで十分」
などなど・・・。
デジタル一眼に関しては、
その撮像素子(センサー)の大きさがしばしば話題になります。
どれも一理あって、はっきり言えば
「目的によって違う」
としか言いようがありません。
元々のフィルムが35mm(135フィルム)で、
長年そのサイズが広く流通してきたために、
ある種の「デファクトスタンダード」であった名残とも言えます。
実際には「6×6」、「4×5」、「8×10」など、
フィルム時代にもブローニーフィルムをはじめ様々な
フォーマットがありましたが、
一般的に広く普及したのが35mmフィルムであっただけです。
これについては、かの「Leitz社のLeica」の貢献が大ですね。
その辺はいくらでも詳しいサイトがあるのでここでは触れません。
ですので、慣習的に一眼レフ用の交換レンズの焦点距離も
35mmでの使用を前提に表記されてきたのです。
で、この35mmのフィルムと同じサイズの撮像素子のことを
「フルサイズ」と呼ぶわけです。
デジカメの黎明期は、まだ半導体素子の製造技術とコストが
追いつかず、「フルサイズ」の撮像素子を持ったデジタル一眼は
一般には出回りませんでした。
その代わりに先行して普及したのが「APS-C」規格の撮像素子を
載せたデジタル一眼でした。
撮像素子のサイズが「フルサイズ」より小さいため、
35mm用のレンズの焦点表記が実際と異なることになります。
一概に「APS-C」と言っても、
メーカーによって撮像素子のサイズが微妙に違いますが、
おおよそ1.5倍から1.6倍換算になります。
例)
35mm換算 35mmレンズ -> APS-C換算 52.5mm~56mm
35mm換算 50mmレンズ -> APS-C換算 75mm~80mm
35mm換算 200mmレンズ -> APS-C換算 300mm~320mm
これを見て何か気付きましたか?
そう、全体に焦点距離が長いほうにシフトするのです!
ということは、望遠レンズでの撮影に関しては、
「フルサイズ」より「APS-C」の方が有利ということです。
「200mm」のレンズが「300mm強」のレンズとして使えます。
逆に広角は不利になりますよね?
35mm換算 17mmレンズ -> APS-C換算 25.5mm~27.2mm
ですので、私のようにステージ写真や舞台写真を撮るには、
「APS-C」サイズは利点となるのです。
「スポーツ写真」や「動物写真」などでも有利ですよね。
逆に「建築写真」など広角が必須な撮影では、
「APS-C」は不利になります。
このように「フルサイズ」と「APS-C」には、
それぞれメリットとデメリット・・・というより
別々の利点があるのです。
ちまたには「フルサイズ神話」のように、
「フルサイズの方が綺麗」とか、
「フルサイズの方が高感度に強い」
「フルサイズが最強!」
「フルサイズが高級!」
などとの声がありますが、まあほとんど「神話」です(笑)
もちろん、センサーのサイズが大きい方が「高感度」に強いのは
事実でしたが、現在では一概にそうとも言えなくなっています。
上記の「高感度」以外にも「ボケ」など、
細かいことを言えば違いは色々あるのですが、
それはまた別にお伝えします。
実際の撮影現場においてはセンサーのサイズは、
「良い」or「悪い」
ではなく、
目的によって選択するのが正しい姿勢だと思います。
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芦澤来斗